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Posted by のらんば長崎運営事務局 at

2010年02月16日

大波止の今昔


佐伯泰英の「交代寄合伊那衆異聞」という文庫本シリーズがめっぽう面白い。

タイトルだけでは、何のことかさっぱり分からないが、
主人公は旗本ながら大名並みに、領地の伊那から江戸へ参勤交代を義務付けられた座光寺家の当主。

途中巻の「上海」という副題に惹かれて読み始めたが、面白いので最初の「変化」から読み直している。
舞台はいつの間にか、江戸から長崎へ移っていく。
時代は幕末。長崎に「海軍伝習所」ができて間もない頃。若かりし頃の勝海舟も登場する。

大波戸という地名が出てきて、エッと思ったが、その後の巻では大波止と訂正されていた。
作者は長崎出身ではないが、へえ~と思わず感心させられるほど、長崎を生きいきと描いている。
長崎外の人の方が、長崎のことをよく勉強しているようだ。


第5巻の「阿片」には鼠島が出てくる。
少年時代に海軍伝習所ならぬ、
水泳訓練所として通った島だ。

今の大波止からの眺めは小説の舞台とは大きく変わっている。
造船所のクレーンが見え、大橋も架かっている。

勝海舟が見たらビックリするだろうか?
我が意を得たりと、ニヤリとするかも。  
タグ :佐伯泰英


Posted by バッテン at 10:28Comments(0)読書

2010年01月17日

有終の美


山本一力の「いっぽん桜」は、
江戸時代の商人を主人公として、
現代にも通じる定年退職者の心模様を描いている。

今で言えば、大手人材派遣会社。
その副社長として業務一切を取り仕切っていた長兵衛。
次の世代に経営を託す決意をした社長から一緒に退陣するよう言い渡される。

「まだ働ける。あのお店には私が必要なはずだ・・・」
という思いは、現代の退職者にも通じる。
転職した職場に中々馴染めなかった長兵衛だが、
災害に見舞われたときに助けに来た仲間とやっと心が通い合う。


桜は散り際が美しい。人間も引き際が大事だ。
桜のように、時節がくればまた花も咲く
それまで力を蓄えておくことが大事だと思う。
  

Posted by バッテン at 10:30Comments(0)読書